江戸のエコロジーを
未来のエコノミーへ

 
江戸時代から続く自然共生社会の叡智を未来思考で見直し、サーキュラー・エコノミーへのヒントを紡ぎます。

 

with NATURE

自然との共生

江戸時代に各藩毎に存在したサーキュラー・エコノミー

郷土料理とは近距離ガストロノミー

 
自然と共生するサーキュラー・エコノミーへの関心が高まる中、私たちが注目をしているのが「郷土料理=近距離ガストロノミー」という視点です。
 
四里四方(よりよほう / しりしほう)の生活文化圏の中で誕生したスモール・グリッド型のフードシステムが江戸時代の食文化の基本でした。当時の経済概念、フードシステム、人徳や学びの在り方を再評価し、未来へのいしずえを紡ぎます。
 
 
歌川広重 / Hiroshige Bowl of Sushi / Criative Comons

栃木の郷土料理
「しもつかれ」は
循環型社会への
メッセージ

辰元が創業以来、大切に料理し続けている栃木の郷土料理「しもつかれ」。鎌倉時代の「宇治拾遺物語」でも紹介され、広く北関東に普及する献立です。
 

 

 
「しもつかれ」は人参、大根を鬼おろしで擦り上げ、油揚げと塩引き鮭の頭を細かく刻み、酒粕と大豆でじっくりとを煮込むシンプルな伝統料理です。その思想の根底に流れているのは「もったいない文化」です。自然から頂いた恵みを1ミリグラムも無駄にせず全て煮込み、ファイトケミカルを身体に頂き、残さずに頂くフードロス思想が根底にあります。
栃木にんじん  

人参は江戸時代の農書に「菜園に欠くべからず」とあるように江戸料理の中心的な食材です。伏流水が流れ出す関東平野の始まりの地である栃木で栽培される野菜の中で人参は特に大地の恵みです。

栃木だいこん  

大根は平安時代に普及し、江戸時代には100種類以上が存在しました。小江戸である栃木でも数多くの品種の大根が育てられており、豊かな大地から収穫される大根は栃木の味を支えています。

栃木だいず  

江戸に大豆は国民の栄養を支えたパワーフードでした。栃木では豊かな大地ですべて大豆が地域で育てられており、まさに本物の国産大豆の味を楽しむことができます。

塩引き鮭の頭  

海のない栃木では乾物の魚介類は重要なタンパク源として古来より重宝され、余すとこなく料理に活用されてきました。塩引き鮭の頭までしっかりと頂く「しもつかれ」はフードロスの原点です。

酒粕  

天然水が豊かな栃木では酒造りが盛んであり江戸時代に数多くの銘酒を生み出してきました。酒粕は栃木の良質な水と酒米と麹がミックスされた完全栄養食として様々な料理作りに活かされてきました。

油揚げ  

良質な大豆で作られる油揚げ。黄金色の表面のカリッとした食感の中にふっくらと広がる豆腐。「しもつかれ」は、江戸時代の天明の飢饉から人々を救うために稲荷神社に奉納たとの記録があります。